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通商白書で訴えたビジネス環境整備
2014年版通商白書では、13年の貿易赤字が過去最大になった分析を通じて、企業は円安下も輸出価格引き下げに前向きでなかったことで輸出数量の伸びが限定的だったと指摘した。現時点でも、多くの企業は価格引き下げ方針を示していないとしており、原発の稼働停止が長期化するなかで、鉱物性燃料輸入が高止まりすることを考えると、貿易収支の黒字化は容易ではないことを示唆している。
13年の貿易赤字は11・5兆円と過去最高を記録、11年から3年連続で赤字が続いた。輸出額は前年比9・5%増の69・8兆円と3年ぶりに増加した。一方で、発電用化石燃料の輸入増に加えて、好調な内需を背景に輸入額は同14・9%増の81・2兆円で4年連続増加、過去最高となった。
自動車は対前年比で黒字幅が拡大したものの、これまで日本の輸出を支えてきた一般機械、電気機器の黒字幅が縮小している。13年は「アベノミクス」効果による円安が進行したが、円建て輸出価格は引き下げないとの判断が化学も含めて多くの産業で大勢となった。この傾向は、00年代から円安・円高のいずれの方向に推移してもみられた現象で、今後も輸出数量は海外市場の好不況に影響されて変動する傾向が続きそうだ。
貿易赤字の拡大は、経常収支の3年連続黒字幅減少につながった。経常黒字を維持するために、観光客誘致や知的財産権使用料拡大などによるサービス収支の赤字幅縮小が必要。サービス収支は00年の約5兆円の赤字から、13年は約3・5兆円の赤字へ改善傾向にあるものの、対外直接投資の収益力を高めることで所得収支の黒字幅を増やす努力が求められる。
このような貿易・経常収支を取り巻く環境を踏まえ、通商白書ではわが国産業の競争力強化に向けて、国内外のビジネス環境整備の重要性を強調した。日本企業がグローバル競争を勝ち抜くには、規模拡大や多様性の強化と、事業スピードを両立する新たなビジネスモデルの再構築を求めた。さらに、特定の事業で世界市場における高いシェアと収益力を持った「グローバルニッチトップ企業」の育成、強化を政策面でも後押しする必要があるとした。
政府が先頭に立って推進する国際展開戦略は(1)TPP、RCEP、日中韓FTA、日EUEPAなど多面的経済連携による世界の成長市場の獲得(2)日本企業の海外展開、インフラ・システム輸出、資源供給確保に向けた戦略的、重点的支援(3)優れた技術や人材を呼び込み、日本のイノベーションや雇用創出に貢献する対内直接投資の促進だ。着実な取り組みが必要だ。