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セルロースナノファイバー普及に挑む 中越パルプ(上)
国産竹由来のセルロースナノファイバー(CNF)が本格的なビジネスの段階を迎えようとしている。仕掛け人は中越パルプ工業。音響機器を手掛けるオンキヨーが、2016年中に発売予定のスピーカーに中越パルプ工業のCNFを採り入れることを決めたためだ。竹資源の活用は、放置竹林から起こる竹害解消にもつながることからCNFを巡る競争で異彩を放つ。差別化できる特徴を強みに、有望市場で確固たる優位性を築こうとする新たな挑戦が動き出した。
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中越パルプ工業がCNFの研究を始めたのは5年ほど前。九州大学大学院の近藤哲男教授が発明した水中対向衝突(ACC)法と呼ぶ製造法を使って、植物繊維をナノメートル単位まで細かく解きほぐす。高岡本社(富山県高岡市)内にある研究開発拠点では8人の研究員がCNFの技術開発に日々精を出す。
繊維幅は20ナノメートルから、手間やエネルギーをかけずにコストを重視した200ナノメートルまで揃える。13年3月からサンプル提供を始め、用途を検討している企業が求める性能や品質改善に取り組んできた。
CNFは軽く、樹脂に少量を混ぜれば軽量で丈夫な部品が作れる。だが、CNFは親水性が高いことから疎水性の樹脂との相性はあまり良くない。均一に分散させるには、化学反応によってCNFを疎水化する必要がある。
これに対し、近藤教授のACC法を使うとCNFに疎水性を持たせることができるため、樹脂になじみやすくなるのだという。疎水化の工程を省ける技術でコストの低減が見込める。原料として利用する竹についても疎水性の付与が容易であり、他社と差別化できるCNFの特徴を引き出した。
そもそも同社は、20年近く前から放置竹材を原料にした竹パルプという他社にはない製造技術を持っている。このためCNFの原料は一般的な針葉樹や広葉樹のみならず、国産の竹を選ぶことが可能だ。竹由来は強度が出やすく透明度は非常に高い価値も生み出す。
独自の集荷ルートを通じ、具体的には1998年から川内工場(鹿児島県薩摩川内市)で竹材の受け入れを開始。九州一円から年間で約2万トンの竹が集められ、製紙用の竹チップに加工されている。09年には国産竹100%からなる特徴のある紙の販売にも乗り出した。商品名は「竹紙100」。主に印刷用紙や封筒、箸袋などに使われているという。
一方で竹資源の活用は、別の意味合いも持つ。成長の早い竹が自然林を侵食する竹害に悩む自治体の支援につながるほか、放置竹林の防止という点からも環境保全に役立つというわけだ。その分、竹を原料とするCNFにかかる期待は一段と大きくなる。