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三菱化学の植物工場 ベビーリーフに照準 高付加価値化を追求
植物工場への参入が相次いでいる。主流はレタス栽培。こうしたなか、三菱化学はベビーリーフ栽培に照準を定め異彩を放っている。そこには、生み出す作物の高付加価値化を極めようとする独自の戦略がある。
一般に人工光を利用した完全閉鎖型の植物工場で栽培された作物には、露地物に対し、異物の混入がない、農薬を使わないので洗わなくても食べられるなどの特徴がある。日本施設園芸協会のまとめによると、栽培品目は6割以上を非結球レタスが占める。ただ、収支面は過半が赤字を強いられており、コスト削減と同時に、より付加価値の高い作物づくりが求められている。
ベビーリーフは、ミズナなどの葉菜を幼いうちに摘み取ったもの。通常の大きさにまで育った場合に比べ栄養素が豊富なため人気が高まっている。一般に、数種類の葉を混ぜて販売されている。
播種から3週間ほどと、栽培品目の代表格であるリーフレタスのおよそ半分の期間で収穫できるのも魅力だが、三菱化学が最も注目したのはその多様性だ。ベビーリーフとして食されている品種は数百種類にわたり、組み合わせによって、さまざまな個性を持たせることができる。露地栽培では、気候や季節によって使える品種が制約されるが、完全人工型の植物工場なら、求める機能に応じた開発が可能だ。
小田原の研究開発拠点では、栄養や味、彩りなどさまざまな観点から、ベビーリーフの開発を行っている。組み合わせる品種やそれぞれの分量、さらに葉と茎のバランスまで最適化し、さらに各品種が同じ周期で過不足なく生産できるように工場全体を調整する。栽培品種の拡大によってメニューは広がる。栽培法によって特定の栄養分を高めることができれば、露地物とは異次元のものになってくる。
昨年秋、秋田県雄勝郡に「ローソンファーム秋田」が竣工した。三菱化学の植物工場を使って、コンビニ大手のローソン向けにベビーリーフを出荷する。最新の案件で、規模は31トンと最も大きい。流通大手との取り組み拡大への突破口となるか注目される。
三菱化学の植物工場が初めて販売されたのは、冬の平均気温が氷点下となるロシアのサンクトペテルブルクだった。その後も農地が少ない香港や、兵庫の高架下、そして豪雪地帯の秋田など、農業に向かない土地での栽培に注目が集まりがちだった。しかし、そこには作物そのものの価値で、新しい領域を開こうとするもう一つのフロンティアがあった。
【写真】ベビーリーフ各種を分量のバランスよくミックスして出荷できるよう工場全体を制御している。