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2015年03月31日 前へ 前へ次へ 次へ

大震災からの復興〜宮城のいま〜(下)

物流など山積する課題解決を
*ドライバー不足*
 大震災から4年が経ち、復興に向けた取り組みも本格化してきた。再生期を迎えて直面する課題の一つがドライバー不足だ。慢性的な運転手不足は深刻で、物流が抱える構造的な問題は復興の足をひっぱりかねない事態となっている。
 宮城県南東部、仙台市から南へ約25キロメートルの亘理町。積水化学工業は今月2日、この地で東北唯一となる塩ビ管製造工場の操業を開始した。製造するのは下水や農業向けの汎用管。需要の8割を満たせる、いわゆるボリュームゾーンだ。
 工場は物流センターの一部を利用したもので、従来は各地の工場から製品を集め、ここから東北一円に供給してきた。国内の生産体制再構築の最中にある同社だが、東北工場の立ち上げを後押しした要因の一つに製品を輸送するドライバー不足がある。
 東北地区の塩ビ管需要は震災前の2010年と比べ、足下は1・6倍に膨らんでいる。ただ、「復興が本格化するにつれトラック不足が顕著になり、お客さまにご迷惑をおかけする事態が生じ始めていた」と富永益造環境・ライフカンパニー東北支店長は内実を明かす。
 災害公営住宅も8割方建設が着手され、今年から来年にかけて建設がピークを迎える。富永支店長は「円滑に資材を供給するのがメーカーの使命。上下水道の本格復旧もこれからで、農業向け需要も立ち上がってくる。復興に水を差すことがないよう、製品の安定供給に万全を期す」と述べる。
※品質保証に影響※
 現地における運転手不足は深刻だ。「大型車を運転できるドライバーにとって、いま一番儲かるのは被災地でダンプを走らせること。また、宅急便などの小口貨物輸送にも人が流れており、製造現場のロジスティクスに支障が出始めている」(宮城県経済商工観光部)。
 旅客輸送のドライバーの減少も顕著だ。「運転手の高齢化や慢性的な人手不足、若者離れが大きな問題で、慣れない女性でもやる気があるなら採用して育てようという試みを始めている」(ジェイアールバス東北)。
 東ソーグループで高圧ガスなどを取り扱う東邦アセチレン(多賀城市)の福澤秀志取締役執行役員は、「製品の品質保証はドライバーがエンドユーザーにしっかり届け、製品をセッティングするところまでが問われてくる。保安にも直結する部分であり、そのレベルをいかに維持するかが今後の課題だ」と強調する。     ◇
 「がんばろう!東北」―。積水化学の東北工場で生産された塩ビ管にはJIS(日本工業規格)の表示に交じって被災地支援のメッセージが施されている。「とってつけたような言葉にみえるかもしれないが、地元の販売代理店さんはわれわれが思う以上にこの言葉を喜んでくださり、地元の資材を使おう、売り込んでいこうと盛り上がってくれている」(富永支店長)。
 本来JISのパイプは表示1つを変えるのにも煩雑な手続きが必要となるが、今回ばかりは審査機関もその意図を汲んで速やかに受理されたという。
 復興はまだ緒に就いたばかり。課題は山積みだが、被災地はその一つひとつを取り除きながら、階段をゆっくりと、着実に登っている。
(了)

【写真説明】復興はまだ始まったばかり(年5月の女川町の様子)


Copyright(c)2010 The Chemical Daily Co., Ltd.