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2015年02月16日 前へ 前へ次へ 次へ

世界のGM作物動向に背を向けるな

 日本の遺伝子組み換え(GM)作物の輸入比率はダイズやナタネで90%以上、トウモロコシでも80%近くになっている。GM作物を使った加工食品に不安を感じる消費者は多いとされるが、「産地」「食品添加物」「賞味期限」の表示には関心が高いものの、「遺伝子組み換え」に関してはそれほど高くないという調査がある。
 国際アグリバイオ事業団(ISAAA)によると、世界のGM作物の商業栽培は1996年の170万ヘクタールから2014年には1億8150万ヘクタールへ100倍以上に増加したという。5万ヘクタール以上の生産を行っているのは米国、ブラジル、アルゼンチン、カナダなど19カ国に達した。近年では中国、パキスタン、フィリピンなどアジアの栽培が急増、アフリカにも広がっている。これに対して日本やEU主要国の栽培は遅れている。
 世界最大の7300万ヘクタールのGM作物を栽培する米国では、前年比300万ヘクタールと高い伸びが続き、GMダイズの導入率は前年比1ポイント上昇して94%になった。トウモロコシは同じく3ポイント上昇して93%に、ワタは同じく6ポイント上昇して96%となった。米国農業はGM作物の導入で一段と競争力を高めたが、収量や所得など経済的効果は発展途上国がより大きく、栽培面積の増加につながっている。
 GM作物の導入によって、95年比で世界の収量は22%増え、農薬使用量は37%減少、農業生産者のネット利益は68%増加したとする分析もある。このほか、GM作物の導入で農地の使用効率が改善して森林などの喪失を軽減、生物多様性の保全にも貢献した。農業資材の投入量を減らすことによる環境負荷低減も無視できない。米国では新しいGMジャガイモの開発により、高温で調理する食品で発がんリスクが懸念されているアクリルアミド発生を抑制できるということも話題になっている。
 世界の人口は1900年の20億人から72億人まで増加したが、50年には96億人、2100年には110億人になると推定されている。これに必要な作物を伝統的な品種改良だけでは不可能でGM作物の役割は大きい。
 日本ではGM作物に対する安全性の不安から商業栽培が行われないだけでなく、本格的論議も進んでいない。一方で日本は農業人口の減少が進んでいるが、農業政策は混迷を続けている。畜産や加工食品なども含め関連産業への影響も避けられない。農業の技術革新はGMのみならず、RNA利用など新たなバイオテクノロジーの登場によって一段と加速する。世界の潮流に背を向けたままでは、将来世代に禍根を残すことになる。


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