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2015年01月26日 前へ 前へ次へ 次へ

Close up 原油価格下落 思い巡らす元売りトップ

「ルール」変わり新たな秩序へ

 原油価格の下落が止まらない。直近の指標原油はいずれも1バーレル当たり50ドルを割り込み、去年7月以降の半年余りで半値以下に下落した。石油元売り各社のトップはこの現状に、需給構造の変化やエネルギー業界の新たな秩序形成の潮流を読み取っている。
    ◇
*市場経済への転換*
 足元の原油価格下落について、「米国のシェール・オイルの台頭により、石油輸出国機構(OPEC)が価格を決めるという従来のゲームルールが変わった」と指摘するのは昭和シェル石油の香藤繁常会長グループCEO。原油安の背景を国際的な需給バランスの緩和にあると分析。シェールをはじめとする新興勢力、非在来型オイルが思わぬ速度で生産力を積み上げたことを挙げ、「いまやOPEC諸国の世界シェアは4割にすぎず、生産協定を結んでも需給環境に及ぼす影響は限定的。かつては生産カルテルで世界の価格が決められたが、現在は需給で価格が決まる。市場経済への転換を認識する必要がある」と説く。
 コスモ石油の森川桂造社長も急落の理由として「いわゆる地政学的リスクや金融相場から需給相場に移行したこと」を挙げる。出光興産の月岡隆社長は「実需が低迷する一方、シェールオイルの生産が日量100万バーレル増えるなか、OPECがシェアを維持するために減産しないというメッセージを発信したことで、投資資金が一気に引き上げられた」とみている。
※中長期の上昇期待※
 今後の価格動向について、石油連盟の木村康会長(JXホールディングス会長)は「年央から後半にかけて上昇していくというのが一般的な見方だ」と述べる。シェールオイル開発は生産性の高い油田に掘削リグが集中していることや一度始めた油田は掘り続ける必要があることなどから、生産減に転じるのは年後半以降としながら、「65ドルを割ると湾岸協力会議(GCC)諸国はどこも歳入不足に陥るといわれる。中東と米国の我慢比べがいつまで続くかの問題はあるが、中長期的には必ず上昇してくるはず」との見通しを示す。
 森川社長も「それほど遠くない将来回復する」と予想。「先物市場はシェール増産による原油生産の余剰能力拡大を理由に売りが先行しているが、世界の油田生産の実態は自然減で毎年4・5%、500万バーレル弱が減少している状況だ。シェールの生産余力は300万バーレルといわれ、サウジなどその他地域を合わせると世界の原油生産余力は1000万〜1200万バーレルとされるが、これは自然減の2年程度にすぎない」。同社は油価が浮き沈みを繰り返しながら中長期的に上昇していく過程にあるとみて、ヘイル新鉱区も計画通り16年後半の生産開始予定だ。
 香藤CEOは、原油価格の回復時期は需給バランスが改善する時期だと説明。「シェール開発用リグの稼働数はここにきて高コストのものから減り始め、開発が減少している。シェール田は生産のピークが開発後2年程度なので、開発が止まれば生産は減少する。ただ、実際の生産量が減るには1〜2年かかる。したがって原油価格の回復には最短で1年、場合によっては2年が必要だ」。
※変わる"バランス"※
 「世界が新しい秩序に向かって動き始めた。あの時のようにエネルギー業界は今年、大きな変化に直面するのではないか」。月岡社長は1986年の原油暴落を思い起こす。サウジアラビアが85年にスイングプロデューサーの役割を放棄し、政治的に決定されていた価格に市場原理が導入された。当時30ドル台だった北海原油のスポット価格は86年に一時10ドルを割り込んだ。
 「エネルギー業界にとって世界のパワーバランスを崩す要因になり、結果として東西冷戦終結の引き金になったと認識している。現在も世界では宗教や民族の対立の中でさまざまなトラブルが起きている。そうしたなか、水面下では新しい枠組み作りが進んでいるのではないか」。
(但田洋平)

【写真説明】「但田_原油価格推移XLS」で一般ホルダー


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