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2014年10月30日 前へ 前へ次へ 次へ

接着剤、塗料メーカー 「建設需要 一大好機に」(中)

国産木質材復権へタッグ


 東京オリンピック・パラリンピック開催を機に、国産木質建材の復権を狙う動きがある。未利用資源の有効活用を図る国と、集成材・接着剤などのメーカー、研究機関はタッグを組み「従来の建築産業の在り方をがらりと変える可能性がある」新たな木質建材の実用化を目指す。「燃える」「腐る」「弱い」など木材の弱点を克服し、余すところなく活用できるようにするのが接着剤の役割。用途は合板や集成材などの木質建材向けが最大となっているが、近年は住宅着工数の減少や輸入集成材の流入など事業環境に逆風が吹いている。この新たな国産木質建材の成否が、接着剤メーカーの命運を握る。

*安定性能を発揮*
 鉄筋コンクリートに代わり、ビルや公共施設などの中高層建築物に利用できる木質構造用材料がある。クロス・ラミネーティッド・ティンバー(CLT)と呼ばれるひき板を繊維方向に直交するよう積層接着したパネルだ。柱や梁などの木質構造材料とは異なり大きな面として利用でき、分厚い材料全体で構造を支えるため強く、安定した性能を発揮する。木材は燃えやすいが、CLTは火がついても炭化層が形成され内部まで燃え広がることはなく、高い耐震性能も確認されている。
 20年ほど前から欧州で開発が進められ、5〜6年前に採用が本格化。英国では8階建て建物の構造材に使用された例もある。日本では昨年から農林水産省と国土交通省の支援により国産材CLTの強度試験、実大試験体による振動実験などを開始。これに基づき12月に農林水産規格を制定し、今年3月には国内初となるCLT建築物が高知県で竣工した。現在、北海道や福島県でも建設計画が進んでいる。
 CLT材の製造には、木材同士の隙間が発生しやすいなどの課題がある。木質建材用接着剤で国内最大手のオーシカはこのほど、業界に先駆けてCLT専用の接着剤を開発した。今春制定されたJAS規格に準拠し、難燃剤を用いると接着しにくくなる課題にも対応。建築基準が整う前にもかかわらず引き合いがあるという。従来の製造ラインでは対応できないため、本格的な販売は「箱モノでの設備投資が必要になる」と期待する。
*国が普及後押し*
 政府がCLT普及に向けた後押しを始めたのは、木材自給率が28%にとどまっていることが背景にある。未利用国産資源を活用して地方活性化と雇用創出を図ることを目的に、政府は今年6月、林業の成長産業化策を打ち出した。新たな木材需要を生み出すための革新技術として国産材CLTの普及も盛り込まれている。東京オリンピック・パラリンピック開催の機会を「世界に国産材と日本の木造技術をPRすることで普及拡大の足掛かりとしたい」(林野庁林政部木材産業課木材製品技術室・高畑啓一課長補佐)として、2016年度の早期をめどにCLTを用いた建築物の一般的な設計法の確立、および生産体制構築を目指す。10年後にはCLT50万立方メートルの生産を計画。直近の9階建ての新築ビルの年間新設量3%分を置き換えられれば、経済波及効果は年間700億円、8800人の雇用創出が見込まれる計算だ。
 CLTの構造用建築材料としての利用に向けて、建材メーカーが主体となり2012年に日本CLT協会が発足した。ハウスメーカーや建設会社、接着剤メーカー、大学や行政機関など、会員数は今年10月時点で173団体に拡大。4月には一般社団法人となった。技術基準策定への協力や製造方法、接着剤や仕様による性能検証など各種活動が進められている。
(続く)

【写真説明】中国地方で初めてのCLT建築物「高知おおとよ製材社員寮」


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