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知財を活用して強い農畜産業創出を
農林水産物や食品の競争力強化に向け、農林水産省が知的財産の活用マニュアルを策定した。農林水産物の生産者や、その付加価値の高める食品業者などに提供して、攻めの農林水産業への転換を期待したい。農畜産業ではこれまで、新品種の育成やアイデアを巡るトラブルは比較的少なかった。しかし、インターネットの普及などにより、情報が手軽に入手できるようになったことで、アジアを中心に育成者権侵害が増加しており、防衛する仕組みを構築することが迫られている。さらに、日本の農林水産業の「強み」をより発揮するためにブランドの保護・活用も急がれている。
このほど策定した戦略的知的財産活用マニュアルは、昨年12月にまとまった「新品種・新技術の開発・保護・普及の方針」に基づき、具体的事例による知財活用の方策を示した。新品種の育成と高度な生産技術を知財として位置付け、競争力の強化を図る重要性を農林水産業者に浸透させ、新産業創出につなげていこうというものだ。
日本をはじめ多くの国では、植物の品種開発に対しては特許権が認められず、育成者権と呼ばれる権利を得ることができる。マニュアルでは、活用可能な特許など権利の種類のほか、ブランド保護のため育成者権を活用して高品質な品種維持に成功した事例なども紹介している。伝統野菜のブランド化には商標権の活用ほか、特殊な農業技術によってブランド力を高めることも知財活用事例として取り上げている。
このマニュアルを契機に、農林水産業者が実際に活用しやすい環境や体系的にサポートする仕組みづくりにも、農水省は前向きに整備してほしい。
国際的販売ネットワークを持たない農林水産業者にとって、海外展開に課題が付きまとうのも避けられない。販売先や契約栽培する国・地域の知財制度を調査して、登録・活用する知財を戦略的に使い分ける必要がある。トラブルを未然に防ぐためには、現地パートナーとの詳細な契約条件の締結しなくてはならない。貿易のエキスパート組織である日本貿易振興機構(JETRO)や経産省との協力関係の強化や、農林水産業の知財に詳しい国際専門家の育成などを地域団体、自治体を通じて進める必要もあるだろう。
農水省では、種苗管理センターへの品種保護Gメンの配置、DNA判別といった育成者権の侵害対策に重きをおいた活動を進めてきた。これからは、積極的に海外市場を攻め、強いブランドを背景にした強い農林水産業を創出することが期待されている。戦略的知的財産活用マニュアルの役割は大きい。