実効性の高い代替フロン削減対策を
代替フロンの地球温暖化対策で、焦点になっているのは業務用冷凍空調機器に使われているハイドロフルオロカーボン(HFC)対策だ。使用済みフロンの回収量は増えているものの、回収率は足踏み状態が続いている。今年10月に改正フロン回収・破壊法の施行から5年を経過することで、経済産業省と環境省の合同審議会で新たな施策に向けた議論が始まっているが、環境省から示されたのが?フロン税?デポジット制度?課徴金による削減策だ。課題はその実効性である。
環境省が発表した2010年度の温室効果ガスの排出量は、12億5800万CO2トン。生産活動の回復もあって09年度から4・2%増加したが、京都議定書の基準年である90年比では0・3%減少している。このなかで代替フロン3ガスであるHFC、パーフルオロカーボン(PFC)、六フッ化硫黄(SF6)は、CO2換算で2400万トンにとどまり温室効果ガス全体の2%未満である。
半導体などの製造ラインで使用するPFCとSF6は、使用削減や代替物質への転換が進み、減少傾向が続く。これに対してHFCは、オゾン層を破壊する既存フロンを代替して家庭用エアコン、カーエアコン、業務用冷凍空調機器の冷媒として需要が拡大、これからも排出量の増加が続く。
このなかで家庭用エアコンは家電リサイクル法、カーエアコンは自動車リサイクル法に基づいて使用済みHFCは回収されている。このため代替フロン対策は業務用冷凍空調機器からの排出抑制・回収率の向上に行きつく。
これまで政府は産業界の協力を得て、アンモニアなど代替物質の開発、冷媒の漏れにくい機器の開発、使用時の漏えい防止対策、回収したHFCの破壊・再生の技術開発を行うとともに実証試験を行ってきた。ただ、HFCは価格が安いうえ、健康被害を起こさないという安全性もあって、手間や費用をかけて回収しようというインセンティブが働きにくい構造がある。
そこで浮上したのが、フロン税などの経済的手法の活用。フロン税はフロンメーカーに課税して、ノンフロン機器の購入補助や冷媒・破壊補助など振り向ける。デポジット制度は、機器ユーザーが購入時に預託金を払い、廃棄時のフロン回収・破壊の際に払い戻す。課徴金制度は機器メーカーが廃棄時のフロン破壊費用を負担する。課題は業務用冷凍空調機器に限定した対策となること。産業界の負担や行政経費に見合うHFC排出削減効果、さらに温暖化対策にどこまで貢献できるか、効果を見極めることが求められる。