ゴキブリを原料に油脂生産へ挑戦
どこの家庭にも生息するゴキブリ。不衛生、病気の原因になるとして忌み嫌われ、見つけると駆除しようとするが、素早い動きで姿を消すしぶとさも備える。日常生活の天敵というのが一般的なイメージだろう▼今年で43回を数えた油脂産業優秀論文では、花王の長谷川義博氏によるゴキブリを原料に油脂を生産するという提案が審査委員特別賞を受賞した。際物研究のように感じるが、生物多様性の保全と食品廃棄物の有効利用という課題解決につながるものだ▼油脂産業はパームなど植物資源に依存しているが、消費量の増大によって生態系に負荷を与えている。一方で、途上国などの飢餓が深刻化するなかで、先進国では食品廃棄物の処理が社会問題になるという矛盾が拡大している。そこでゴキブリの活躍が期待されることになる▼日本ではあまり考えにくいが、世界ではゴキブリを食用にしている民族がある。実験動物として飼育実績もある。試算では日本の未利用食品廃棄物を原料に40%をエネルギーに転換すると、飼育できるゴキブリは約530万トン。搾油率10%で53万トンの油脂ができるが、パーム油輸入量と匹敵する▼普及にはハードルもあろうが、まさに「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」であるイグノーベル賞級の研究だろう。成果を見守りたい。