新JISにより義務化されるGHS
化学物質の危険有害性の分類および情報伝達に関して、国際的に統一されたシステムを目標としたGHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)の国内対応が前進する。経済産業省と厚生労働省は、3月中にGHS対応の共通プラットホームとして新JIS(日本工業規格)を公示する。これを活用してビジネスや労働現場において、化学物質の危険有害情報がよりスムーズに伝達されることを望みたい。化学品のユーザーや流通業者も含めて周知徹底が急がれる。
GHSは2003年7月に国連勧告として採択された。化学物質および混合物に固有な危険有害性を特定・分類するとともに、安全データシート(MSDS)と表示ラベルで情報を伝達する。わが国ではGHS関係省庁連絡会議が発足して導入に向けた取り組みを進めてきた。また、EUの新化学品規制(REACH)などでもGHS導入が進んでおり、事実上の国際標準になっている。
GHS導入では経産省と厚労省が主導的な役割を果たしてきたが、JISを改定することで化学物質情報の伝達がより充実・強化されると認識が一致。経産省は化学物質排出把握管理促進法(化管法)を、厚労省は労働安全衛生法(労安法)を改正して対応することにした。
具体的には、MSDSを規定しているJISのZ7250と、ラベル表示のZ7251を統合するととに、情報伝達に関するルールを追加して新JISのZ7253を策定した。化管法では約560物質、労安法では約640物質に義務が生じることになる。努力義務とはいえ、化学物質の取り扱い事業者は的確な対応が求められる。
また、化学品の引火性や爆発性など物理化学的危険性、健康有害性、環境有害性などの分類方法を規定しているJIS(Z7252)を、最新のGHSと整合を図る改定作業も始まっている。来年度には分類の改定JISを公示する予定で、この対応も迫られる。
GHS対応は、労働現場や事業者間で使われる化学物質を主な対象としているが、これからは圧倒的に数の多い混合物や消費者向け商品にも広がる。このためには純物質の危険有害性データの整備、データベース化を急ぐ必要がある。
世界の化学物質管理はリスクに軸足を移し、硬直的な規制依存から事業者の自主的取り組みを尊重する方向に動き出している。しかも先進国のみならず新興国も国際調和を重視する規制体系を導入しつつある。産業界はこの潮流に対応するとともに、危険有害情報の収集・整備で国際貢献が期待されている。