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2011年11月17日 前へ 前へ次へ 次へ

瀬戸内の貧栄養化

 戦後の経済発展にともなって噴出した公害問題。窒素やリンなどの富栄養化が原因で海や湖沼で発生した赤潮は、多くの映像が衝撃を与えた。原料にリンを使う合成洗剤がやり玉に挙がり、メーカーは代替品開発を迫られた▼それ以前の公害は企業側に原因があったのに対し、赤潮問題は生活水準の向上による栄養塩の過剰流出にも起因した。豊かさを求めた消費者の行動が加害者になりかねない新しいタイプの環境問題の先駆けでもあった▼赤潮対策として、政府は1978年に水質汚濁防止法を改正、水質規制の強化に乗り出した。その効果もあって、最近は赤潮および青潮が話題になることは少なくなったが、逆に瀬戸内海では陸域からの栄養塩が減少する「貧栄養化」を引き起こし、ノリ養殖や漁業に打撃を与えている。栄養塩が減ったことで、植物プランクトン生産量が低下したことが原因のようだ▼赤潮対策によって「きれいな海」が戻ったが、これは「豊かな海」ではなかった。地元では肥料添加に加えて、下水処理緩和運転やダム放水で栄養塩を増やし、豊かな海を取り戻す努力を重ねている▼ただ東京湾ではいぜん富栄養化状態にあり、規制が必要という。自然を相手にする環境対策、一律には進まない。多くの要因の重なる温暖化対策は試行錯誤が続きそうだ。


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