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東日本大震災 災害廃棄物対策、多様な廃棄物の混在への対処をどうするか
大地震と大津波で甚大な被害を受けた被災地では、復旧・復興への取り組みが徐々に動き始めたが、現地では膨大な量にのぼる災害廃棄物対策が重要課題となってきた。津波によって建物や多種多様なモノが移動し、所有者の分からない廃棄物が広域的に散在している。瓦礫のほか、自動車などの有価物、し尿や危険・有害物などが含まれる。道路や公有地、私有地から取り除いても勝手に処分できない廃棄物も多い。関係各省や自治体が実態把握を進めているものの、全体の状況は掴みきれていない。環境、国土交通、農林水産の3省は18日に連絡会議を立ち上げたが、現行の法制度の枠内では解決できない課題も多い。体制を拡充し広域的な対策を構築することが急務となっている。
東日本大地震では、東北から関東にかけての太平洋側沿岸を中心に広範な地域が打撃を受けた。すでに死者の数は阪神・淡路大震災を上回ったが、災害廃棄物の発生量も空前の規模に達することが確実視されている。建物や構造物がその場に崩れ落ちたり燃えたりした阪神・淡路と大きく事情が異なるのが岩手、宮城、福島など各県で発生した津波。海岸から4、5キロも内陸に押し寄せた津波が住宅や建物を破壊し廃棄物を発生させただけでなく、それらのモノを大きく移動させた。
壊れた住宅や建物などから発生した瓦礫や木くずなどの廃棄物だけでも膨大な量。さらに廃棄物だけではなく、家電や自動車、船、機械類、生産・流通資材などの有価物も少なくない。燃料や化学品の入ったドラム缶などもある。アスベストやPCB廃棄物が混入した廃棄物もある。
現地ではすでに道路や公共用地などの廃棄物除去が開始されている。多くは、まず仮置き場を確保し、大まかに分類して一時的に保管している。今後、それぞれについて廃棄物処理法などの法律に定められた方法で処分することになるが、それだけでは対処しきれない事態が数多く発生している。
たとえば自動車。自動車リサイクル法では、使用済み(=廃棄物)自動車かどうかは所有者が判断することになっている。このため、私有地に流されてきた自動車は、破損状態にあっても土地所有者が勝手に処分することはできない。半壊状態で流されてきた家屋やその中にある家具、家電などをどう扱うかも難しい問題。
一般廃棄物に扱うべきものとリサイクル法に定められた廃棄物、生活廃棄物、解体廃棄物、有価物、し尿、危険・有害物などが混在しているのが現地の実態だ。
中期的には、大まかに分類したものを一時保管所に集積→再度分別→解体→有価物の回収とリサイクル・焼却もしくは埋め立て処分という流れに乗せることになる。
ただ、現地では一時保管所の確保やその場所への搬送すらもままならない状況。被災地では廃木材などの野焼きも始まっているが、場合によってはダイオキシン発生なども懸念される。一時保管所に集積された廃棄物が土壌や地下水を汚染するケースも想定される。
し尿処理施設についていえば、岩手県では16施設中稼動しているのは8施設、宮城県では15施設のうち10施設(いずれも環境省調べ)。今後は、各地の仮設トイレや簡易トイレから発生するし尿の収集・処理対策も必要になる。
ガソリンや燃料不足による廃棄物搬送の停滞や焼却処分場の稼動停止は、政府が先週末までに石油備蓄取り崩しを決めるとともに西日本からの輸送を拡大したことで、徐々に緩和されつつある。他方、各地の廃棄物処理施設が稼動率を高めていけば、ばい煙処理や排水処理に必要なカ性ソーダや塩酸などの需要も増え、供給体制整備が必要になる。
阪神・淡路では、2000万トンともいわれる災害廃棄物が発生した。2007年の能登半島地震では、輪島市で発生した災害廃棄物は同市の通常年の9・6倍に達したという。
今回の災害廃棄物の発生量は、現時点では推定もできない段階という。発生する廃棄物は膨大な量にのぼることは確実。被害地域が広範囲にわたるだけに、広域的な処理体制をどう構築できるかが重要なカギとなる。さらに漂流・漂着ごみは被災地以外の地域でも対応が必要になる。
災害廃棄物処理は、大規模な災害でも2、3年で終了すべきとされている。今後の対策全般を考えれば、早い段階で現行の枠組みにこだわらない抜本的な方策を検討し、実効性のある対応策を具体化することが必要になっている。