世界化学年

2011年は 【 世界化学年 】

世界化学年とは?

2008年末に開催された第63回国際連合総会にて、"Chemistry-our life,our future"を統一テーマとして、化学に対する社会の理解増進、若い世代の化学への興味の喚起、創造的未来への化学者の熱意ある貢献への支援、女性の化学における活躍の場の支援を目的に、2011年を 世界化学年 【 International Year of Chemistry:IYC2011 】 と定め、世界各国が連動して化学に関する啓発・普及活動を行うことを決定しました。

化学は、科学のキーテクノロジーとして人間生活を支えてきましたが、今後も地球環境問題、爆発的に増加しつつある世界の人口増加問題などを解決するものとして、期待を集めています。

世界化学年日本委員会:http://www.iyc2011.jp


化学工業日報社主催 世界化学年「記念シンポジウム・講演会」が開催されました。

10月27、28日の2日間にわたり、都内の学術総合センターで開催されました。 テーマは「持続的成長を支える化学技術の革新」。27日午前は藤吉建二 日本化学工業協会会長(三井化学会長)、高橋恭平 石油化学工業協会会長(昭和電工会長)が基調講演を行いました。藤吉日化協会長は150年にわたる日本の化学産業の歴史を踏まえ、「競争の焦点は製品から部材へ、いまや素材に移りつつある。食料・水の不足など世界的課題を解決するマザーインダストリーとして、化学産業には大きなチャンスがある」と化学産業の進むべき方向性を示しました。高橋石化協会長は「自ら招いた過当競争体質に対し、勇気を持って再構築を進めなければならない。自社の枠を超え、パートナーを内外に求めることで、日本のビジネスモデルを国際社会に発信しなければならない」と課題を挙げました。

 午後は渡辺捷昭 トヨタ自動車相談役、橘川武郎 一橋大学大学院教授が講演を行いました。渡辺相談役は、街づくりにまで踏み込んだ自動車開発の最前線を概説したうえで、「化学産業なくして自動車はどの部品も作ることができない。次世代自動車の競争を左右するのは材料開発だ。パートナーとして、ともによい自動車づくりを実現したい」と化学産業への期待を語りました。

世界化学年 引き続き橋本和仁 東京大学大学院教授を座長に「化学産業の今・未来」をテーマにパネルディスカッションが行われ、市川秀夫 昭和電工社長、小林喜光 三菱ケミカルホールディングス社長、田中稔一 三井化学社長、十倉雅和 住友化学社長、藤原健嗣 旭化成社長と総合化学5社のトップが顔を揃えました。2時間の議論では機能性化学への対応や国内企業の連携などについて意見が交わされました。  日本の化学産業の進むべき道として、部材サプライヤーに甘んじるのでなく、主導権をとって新事業を切り開いていくべきとの認識で一致。市川氏は「付加価値創造型の事業をいかに深めるか。2次電池など素材の優位性で製品の優劣が決まる分野が増えている」と、化学の重要性を指摘。小林氏は「これからの化学はシステム作りが求められ、それができなければ時代が化学を要請しても化学産業は生き残れない」と語りました。
 東日本大震災で問題となったサプライチェーンへの対応では、海外の同業者との連携も重要との声が多く、田中氏は「有事に備え、事前に他社と互換性の確認をすることについて公正取引委員会も柔軟に対応してほしい」と要望を述べました。  産業構造が変革するなか、企業連携について藤原氏が「従来の製造業の括りに縛られず、農業や林業とのかかわりなども視野に入れた素材の生かし方が求められる」とし、十倉氏は「スマートシティなど新たな枠組みのなかで、化学はシステムとハードの連携に不可欠。エネルギーマネジメントを軸にした産業においても、化学産業は知恵を出して主導していくべきだ」と力を込めました。

  世界化学年 28日は午前に相澤益男 内閣府総合科学技術会議常勤議員、巽和行 国際純正・応用化学連合(IUPAC)副会長が特別講演を行いました。相澤氏は「地球環境問題、安心・安全な社会の構築など社会的問題を解決するために科学技術の利用が求められている」とし、こうした問題解決に「コアサイエンスである化学は大きな貢献ができる。化学がイニシアチブを持つことが必要」と訴えました。巽氏は「今年は世界化学年として化学を紹介するさまざまな活動を展開しているが、継続して化学の重要性を伝える活動を行うとともに、社会の発展に貢献していきたい」と述べました。  
午後はノーベル化学賞を受賞した白川英樹 筑波大学名誉教授が「導電性高分子の合成と応用をテーマとした子供実験教室」と題し講演。白川氏は「子供や親に化学の面白さを伝えていくことが重要」と指摘。「製品になると化学や技術はブラックボックスとなってしまうが、実験を通して興味を持ってもらうことが将来の発展に役立つ」と説明しました。
世界化学年

 その後、世界化学年を記念して創設された「化学コミュニケーション賞」(主催・日本化学連合)の表彰式、引き続き蟻川芳子 日本女子大学学長を座長に、パネリストに小野昇子 三井化学機能化学品開発部主任研究員、坂田信以 住友化学生物環境科学研究所長、櫻井愛子 三菱化学科学技術研究センター主席研究員、松下祥子 東京工業大学准教授を向かえ、女性化学者によるパネルディスカッション「女性化学者の道を拓く~若い世代へのメッセージ」が行われました。

 

キュリー夫人科学伝記読書感想文コンクール 入賞者決定

 日本化学連合主催、世界化学年日本委員会、化学工業日報社共催による「キュリー夫人科学伝記読書感想文コンクール」の表彰式が8月3日午後1時から、東京・目黒区の駐日ポーランド共和国大使館で行われました。入賞者は最優秀賞に小学生部門で側島レンさん(海津市立海西小学校5年)、中学生部門で金生立樹さん(山形市立蔵王第一中学校1年)が受賞、優秀賞には小学生部門で髙城美帆さん(横浜雙葉小学校5年)、浅田恵果さん(淑徳小学校5年)、中学生部門で天野双葉さん(伊ミラノ日本人学校中学部1年)、髙裕美子さん(不二聖心女子学院中学校2年)、野師本桃子さん(小矢部市立石動中学校1年)がそれぞれ受賞しました。

          表彰式

また審査員特別賞として9名が選ばれました。側島レンさん、髙裕美子さんには、当社織田島修社長から化学工業日報賞として記念の盾が贈られました。同読書感想文コンクールは、キュリー夫人のノーベル化学賞受賞100年目を記念した世界化学年のイベントの1つで、470件の応募の中から上位40名が入選しました。理化学研究所の野依良治理事長は受賞者に祝辞を贈るとともに、「化学の未来を担う若い力が育っていることを嬉しく思う」述べ、化学オリンピックメダル受賞者でもある、世界化学年大使の東京大学の廣井卓思氏は「さらに化学に興味をもって好きになり、ぜひ化学オリンピックにも挑戦してほしい」と激励しました。

【 受賞者一覧 】

         金生立樹さん         化学工業日報賞
             金生立樹さん            髙裕美子さん(左)  当社織田島社長(中央) 側島レンさん(右)
   

化学コミュニケーション賞  【受賞者決定】

日本化学連合は9月26日、「化学コミュニケーション賞」(共催・化学工業日報社、協賛・科学技術振興機構)の受賞者を発表しました。団体の部は約20年にわたって「少年少女化学教室」を開催してきたクラレが、個人の部は有機化学・創薬化学分野でウェブ、書籍などを通じて幅広い層を対象として精力的にコミュニケーション活動を行っている東京大学大学院理学系研究科化学専攻の佐藤健太郎氏が選ばれました。
 化学コミュニケーション賞は、世界化学年の記念行事の1つ。化学・化学技術に関する社会への啓発活動、情報発信を通じ、「化学」に対する社会の理解を深めることに貢献した業績を表彰するもの。28件の応募のなかから団体、個人各1件、審査員特別賞2件が選ばれました。
 審査員特別賞は愛知教育大学理科教育講座化学分野・戸谷義明氏の「化学の普及と大学授業とを両立させる出前化学実験」と、福井大学医学部・藤井豊氏ら3人の「分子模型教材による化学コミュニケーションの推進」。
 表彰式は化学工業日報社が主催する世界化学年記念シンポジウム・講演会(東京都千代田区・学術総合センター)のプログラムの一環として、10月28日の午後2時から行われました。


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