住友ゴム工業は、天然ゴムの適用拡大に向けた基盤技術の拡充を推進する。新たにパラゴムノキの生合成機構を解明するとともに、天然ゴムの末端基構造を解析する技術を確立した。生合成機構に関する研究成果が植物体以外の天然ゴム生産で展開されることが期待できる一方、末端基構造の解析技術は天然ゴムの性能・特性をさらに向上する改質技術と注目される。いずれも現在開催されている「IRC 2016 Kitakyusyu(国際ゴム技術会議 北九州)」で発表した。

 住友ゴム工業は、新材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN」を初めて採用した低燃費タイヤ「エナセーブ NEXT?」を11月1日から発売する。同技術をベースに分子設計した「新フレキシブル結合剤」を採用することで、低燃費性能とグリップ性能を高次元で両立しながら、耐摩耗性能を従来品(エナセーブNEXT)に対し51%向上することに成功した。同社では、今後も同技術をベースに低燃費性・原材料・省資源の3つの方向性で商品開発に取り組んでいく。

 ラピート(岡山県赤磐市)は、熱可塑性複合材料を使用したタイヤホイールの試作に成功した。GFRTP(熱可塑性ガラス繊維強化樹脂)およびCFRTP(同炭素繊維強化樹脂)を材料に、金型温度の最適化によりプレス圧縮成形でリム部とディスク部の一体成形を実現。試作品は同じインチサイズのアルミホイールに対してGFRTP製で33%、CFRTP製で46%の軽量化を達成している。同社では、強度試験や車両への実装試験を通じて改良を進める計画であり、低コストな樹脂製ホイールとして実用化を目指す。

 住友理工グループ初の東北地方における製造拠点「住理工山形」(米沢市、矢野勝久社長)。東日本の供給基地として北関東を含めて自動車用防振ゴム製品の供給を担う。為替変動の影響を受けない事業基盤の構築を進める住友理工では、新拠点の本格稼働により小牧製作所(愛知県)、住理工九州(大分県)と併せて日本全国をカバーする拠点網の構築を完了。モノづくりの革新を掲げる新中計「2020V」のスタート後、最初の新工場となる。11日に行われた開所式で矢野社長は「日本のモノづくりの革新をここからやっていく」と述べた。

 日本マグネシウム協会は、自動車部品へのマグネシウムの適用拡大を推進する。自動車マグネシウム適用拡大委員会におけるフェーズ1の取り組みを9月に完了、新たに溶解難燃合金の組成確立やモデル部品の試作、リサイクルなど周辺技術の検討・開発を柱とするフェーズ2に移行する。ダイカスト部品を対象とした今回の取り組みでは2018年度に実部品への成果反映を計画しており、実現すれば将来的にマグネダイカストの国内市場規模を5倍に拡大するインパクトがある。

 キョーラクは、走行車両における独自商品「発泡ダクト」使用による燃費向上効果の実測データを公開した。エアコン使用の軽自動車で燃費測定(JC08モード)を実施した結果、既存の0・8ミリメートル厚のポリエチレン(PE)板製インパネダクトに対して、2・5ミリメートル厚のポリプロピレン(PP)発泡ダクト製は1リットル当たりの走行距離が発泡倍率2・8倍品で180メートル、同4・0倍品で255メートル向上することが実証された。実際の走行車両で発泡ダクトの低燃費効果が実証されたのは今回が初。

 ブリヂストンが耐摩耗性を大幅に向上するゴム配合技術を開発した。革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)において、燃費特性を大きく損なうことなくゴムの亀裂進展に要する引き裂きエネルギーを4・3倍に引き上げることに成功。燃費特性を意識した基準配合に対して摩耗速度を約60%低減することを可能とした。開発成果を応用すれば部材の薄肉化によりタイヤ重量を軽減でき、タイヤライフ全般にわたるCO2排出削減が可能となる。コンベヤーベルトやゴムクローラーなどタイヤ以外のゴム製品への展開できるベース技術として、同プロジェクト期間中の基盤確立を目指す。

 ヨロズは、厚さや強度の異なる数種類の鋼板を溶接して1枚のパネルにした後にプレス成形するテーラードブランク工法の高度化を推進する。自動車部品の軽量化や低コスト化に有効な同工法を「競争力を保てるアイテム」(同社)と位置付け、保有する技術ノウハウをベースに他社との差異化を目指す。将来の技術領域としてアーク溶接やレーザー溶接など溶接方法の研究開発に取り組む一方、振動・騒音対策としての応用など検討することにより技術基盤の拡充を図る計画。独自技術の開発を通じ同工法における優位性を確保していく。

 トヨタ自動車は、レクサスブランドからフランス・パリで開催される2016年パリモーターショーで新コンセプトシート「Kinetic Seat Concept」を出展する。乗員の腰の動きに合わせてシート座面と背面が動き、歩行やジョギングに近い人体の動きをシート上で実現するのが特徴。これにより旋回時や凹凸のある路面走行時の乗員頭部の動きが抑制され、目線が安定し運転しやすさや快適性が向上するほか、腰の動きが身体に適度な刺激を与えることで長時間運転時の筋疲労を抑えることが可能。

 鉄鋼各社が自動車の車体軽量化を目的に、閉断面構造による独自工法の普及拡大を活発化させている。新日鉄住金が3次元曲げ焼き入れ技術(3DQ)の適用部材を広げる一方、JFEスチールは閉断面成形技術「CP-F」の採用促進を目指して独ティッセン・クルップ・スチール・ヨーロッパとクロスライセンスを結んだ。加工法では、板材から3次元中空形状に成形するフルカール工法や液圧でパイプを成形するハイドロフォーム工法などが、部品設計における閉断面構造の採用の広がりとともに普及が進展している。今後、これら加工法の高度化による鉄系部材の軽量化の取り組みが注目される。

 ツチヨシ産業(島根県)は、自動車部品の1割を占める球状黒鉛鋳鉄の高効率生産プロセスの開発を推進する。独自のプロセス制御技術や球状黒鉛の微細化により金型での鋳放し製造の実現を目指す。すでに自動車足回り部品の試作を行い、既存の砂型鋳造に比べて30倍以上の高生産性や高靱性化による軽量化、低コスト化の可能性を見いだしている。同社は同プロセスによる金型鋳造機の開発を進めており、早期実用化を目指す。

 新日鉄住金のチタン合金「Super-TIX10CU」が日産自動車の新型「GT-R」のエキゾーストシステムに採用された。同チタン合金はチタンに1・0%の銅を添加し酸素を低減したもので、純チタン並みの室温加工性を持ちながら高温強度に優れる材料特性を有する。この特性により排気系部品としての加工性向上と耐熱性が評価され、今回の純正部品での採用となった。

 新日鉄住金のチタン薄板がホンダ「CRF450R」の最新モデルの燃料タンク素材に採用された。本田技術研究所との連携によりプレス成形性・溶接性・異方性などの加工上の課題に対する技術提案を行った結果、同社製純チタンJIS1種材(TP270C)の優れた性質が認められた。採用車種はホンダの代表的な量産モトクロッサーであり、燃料タンク本体へのチタン材採用は量産二輪車では世界初。

 日本精工は、自動車用変速機の小型・軽量化に対応した固体潤滑被膜付き軸受けを開発した。新製品は外輪外径面の固体潤滑被膜により、軸受けと変速機ハウジング間の摩擦係数を低減。外輪が回転するクリープ現象によるハウジングの摩耗を抑制する。変速機の小型・軽量化の進展によりクリープ現象を起因とする不具合が発生しやすくなっている。従来品の置き換えによる信頼性向上を広く訴求することで2020年に20億円の売り上げを目指す。

 西川ゴム工業は、卓越したシール(密閉)およびフォーム(発泡)技術をコアコンピタンスに世界規模で事業を展開するシール部品の専門メーカー。連結売上高の90%超を占める自動車部品事業では、独立系として国内自動車メーカーはもとより、欧米など海外メーカーに対して製品を供給する。CAE(コンピューター支援エンジニアリング)技術の高度化など開発基盤の強化に取り組んでおり、製品の高機能・高付加価値化や開発リードタイムの短縮といった面で先行し、優位性を確保していく。

 ヨロズ(横浜市)は、革新的な生産性向上を目指し工場無人化の取り組みを推進する。新たにヨロズ大分(大分県中津市)に独自開発した組み立て自動化ラインを導入し、日産自動車の新型セレナ向け部品の量産を開始した。新ラインは部品の供給から治具への装填、組み立て品の搬送までを完全自動化しており、導入によりライン人員をこれまでの7?8人から最終検査工程の1人に削減した。「初期投資はかかるが2年で回収できる」(志藤健社長)ことから、新規受注品を基本にグループ各拠点へ展開していく方針。

 燃料電池自動車(FCV)という新たなセグメントの創出を目指すCLARITY FUEL CELL(クラリティ フューエル セル)。ホンダの環境アプローチの具現化に取り組むなか、室内設計でこだわったのが「大人5人で乗れるセダンの上品さ」。高分子系素材の場合、再生材やバイオマス原料への置換により品質特性が劣化するケースが多いが、クラリティの開発では環境配慮と品質の高次元での両立を追求した。また、今回は車内空気の清浄化技術の搭載により乗員の健康に貢献するという新たな価値も提案しており、より快適な空間の提供によりFCVの本格普及を狙う。

 ホンダは燃料電池自動車(FCV)の本格普及に向け、今年3月に「クラリティ FUEL CELL」を発売した。2008年のFCX クラリティに続く新型車。セダンタイプのFCVとして世界初の5人乗りとなり、ゼロエミッションビークルで世界トップクラスとなる約750キロメートルの1充填走行距離を実現する。新型FCVは既存のラインアップとは異なる新たなセグメントの創造を目指しており、先進の設計および材料・加工技術が採用されている。

 横浜ゴムは、タイ拠点でトヨタ自動車のGDエンジン向けディーゼルターボ用オイル供給ホース配管の量産を開始した。テフロンホースを使用した同ホース配管は、独自技術により取り付け工数削減を実現したのが特徴。これまで長野工場で生産していたが、同エンジンがタイで生産されていることからヨコハマラバー(タイランド)に生産移管した。トヨタは2020年までに150以上の国・地域で同GDエンジン搭載車を展開する計画であり、横浜ゴムは現地生産で対応していく。

 国内市場の縮小を背景にグローバル化が進む自動車産業。プラグインハイブリッド(PHV)や燃料電池車(FCV)といった次世代環境車の開発・実用化も進展するなど自動車部品業界を取り巻く環境は大きく変わろうとしている。今年5月に就任した志藤明彦会長(ヨロズ代表取締役会長)に、自動車部品業界の状況や日本自動車部品工業会の取り組みを聞いた。